スカイラインターボCのことを書いてから、ふと「FRのプロトタイプって他にもあったっけね?」と考えていたのですが...。
...あ、ありました。フォードのマスタング GTP。
アメリカの IMSA GTP に参戦していた車両です。
ヨーロッパ志向の強い日本ではあまり注目を集めませんが、IMSA も結構大きなレースシリーズですよね...。
この車両、FR レイアウトであることがフォードから出された作成の条件だったそうです(笑)。
ミッドシップのプロトタイプと戦える FR 車両を新規に作成するということだけで悪夢のようなプロジェクトであることは想像に難くありませんが、これがフォードの意向なのだから仕方ありません。
FR プロトタイプ車の設計は2か所で行われたようです。片方はアメリカ、そしてもう一方はザクスピードです。
ザクスピードといえばカプリのグループ5車両などでフォードとは関わりのあるドイツのコンストラクターですね。この2種類のうち、先に完成したのはザクスピード製のものだったようですが、フォードはアメリカで設計製造された車両を希望していたという理由で、最終的にザクスピードの車両は放棄されたということです...。ただし、ザクスピードは、マスタング GTP を走らせるためのチームを運営する立場としてその後も関わっていますね。
スカイラインの場合とは異なり「白紙から本気で作ったFRプロトタイプ」ではありますが、やっぱり成績は散々だったりした訳です...。そりゃそうよね(笑)。
それでも勝ったこともあるにはあるので、成功と言ってもいいのか?うーん、微妙...。
リザルトなどはこの辺りを見れば幸せになれるかも知れません。
参考資料:
Inside IMSA'S legendary GTP race cars: the prototype experience,
by J. A. Martin and Michael J. Fulle
matt
そんな代物があったのか…ちらっと検索してみたら直4エンジンとか書いてあるな。
画像には狭角レイアウトだけど古臭〜いヘッドが写ってる。
しかしフォードは何でまたFRに拘ったのだろう。
不思議だ。
kemeko
当時のフォードは市販車ラインアップにフロントエンジン車しか持ってなかったから、と書いてありましたが、実際どうなんですかね。
まあ、市販車イメージという意味ではアリなのかも知れませんが、エンジニアリングを理解しないマーケティング側の要求って感じですよね。1980年代辺りまでの日本国内のモータースポーツでもよく出てくる話ではありますが。
kemeko
そうそう、アメリカで設計製造であることが優先的な希望、という辺りも、マーケティングのニオイがしますよね…。
matt
80年代ってフォードの経営方針が市場の要求と乖離して、その原因がどこにあるのかを探り始めるに至った時代だったはず。
大企業がコンサル会社と自己利益誘導型の役員の食い物にされる典型として数えられるような気が…レーシングカーにも現れてたってことなんだろうね。
FRスポーツなら然るべきレースがアメリカにはたくさんあるのにねー。
市販車ベースからオーバル・ストックカーまで選び放題なのに。
kemeko
あぁ、言われてみればそんな時代でしたなぁ。
この時代、日米間の自動車関連ニュースを見ながら、子供ながらに「アメリカ人てバ●なのかな」と思っていたのを思い出しました。
まあ、コンサルにいいようにやられて…というのは、今はIT関連でよく聞く話ですね(笑)。
それはそうと、ストックカーは当然参戦するとして、メーカーが力を入れるスポーツカーカテゴリーといえば、ほかはIMSA GTOくらいじゃないですかね?ま、実際フォードもGTOに参戦してましたけど。
ただ、1980年代の初頭にGTPができてしまったことで、GTOに格下クラス感みたいなものができてしまったので、GTPに出るのは必然の選択だったかもとは思います。
が、だからといってGTP車両までFRで作成する理由が分かりませんけれど(笑)。